作品と製品と商品
車道と歩道の間などにある車止めパイプ。高さは60cm~65cmでちょいと腰をあずけるには程よい高さ、そんなスツールを作ろうと思ったのは10年程前。一本の丸棒が作る座りの道具。
紙管などであれこれ試作、フォルムもシンプルで作品としてはカッコ良く成り立ちそう。
しかし座り心地がイマイチ。使われないプロダクトデザインは商品にはなり得ないので、座りやすくする為に丸棒を2本にしたりしてメーカーでも試作。それでも座りたいと思える椅子にはまだまだだった。
結果、丸面を取った2本の木製棒に微妙な角度をつけスリットを入れて配置し、製品化から商品化へ。
名前も<チョイスツール>、バカ売れはないがコンスタントに出て8年目。もはやS社の定番商品。
プロダクトデザインというのは使われてこそ存在があり、それには買って使ってくれる共感者がいる事。作る工場にとっては生産し続けなければ成り立たないわけだし(従業員の給料だって払えない)、アートと違って、デザイナーの主観、欲求だけでモノを作って、メーカーを潰した例はたくさん見てきた。(もちろん、デザインによって発展したメーカーもたくさんある)
作品を商品まで昇華する作業をおこたって製品化するデザイナーは社会悪じゃないかと思う今日この頃。(いよいよ歳とってきたか・笑)
ここで4〜5分待て、と言われたらチョイと腰掛けたくなる車止めパイプ。





by hararana
| 2019-02-11 10:34
| デザインの話
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