椅子のデザイン。オリジナリティって?
もう40年以上いろんなイスをデザインしているが、それにオリジナリティがどの程度あるのか?と問われるとはなはだ?となる。<座と背があってそれに脚がある>そんな椅子は玉座として紀元前からあるわけで、現代の椅子も多少の付加された機能や技術や材の違いがあるだけで、同じ座る道具のカタチには違いない。そこにオリジナリティがあるのかということ。
ところが、40年前スカンジナビアの展示会で発表された「バランスチェア」の登場はそのオリジナリティにおいてまさに新しい椅子じゃないかと驚いた。それが日本の正座(背筋を伸ばして座る)からのアイデアで「もうひとつの座り方」として取り組まれた椅子だったのも。
このチェアの生みの親、ハンス・C・メンショール氏は当時3人のデザイナーに開発を依頼し(その一人は子供椅子のトリップトラップで有名なピーター・オブスヴィック氏)、様々なバランスチェアが商品化された。
今はいくつかのタイプのチェアが世界の3社でライセンス生産されており、その一つが福岡市にあるサカモトハウス(株・プロダクトマーケティングサービス)。ここの日本製「バランスイージー」チェアの品質と開発姿勢にはメンシュール氏も高く評価していて、いまでも「新しい座り方」にトライした提案が次々に送られてきている。
そのサカモト氏から急にメールが入ったのが昨年暮れ。 事務所に来られて、開発に手を貸してくれないかとの熱心な依頼。
日常のデザインワークにプラスして、「座る」ということを深く掘り下げて考える機会になるかもしれない。ということで面白い仕事は始まった。製造している工場技術者とのマニアックな?成形合板技術の話のやりとりもTendo時代を思い出す。問題は仕事時間の配分だが、もしかしてこの仕事ワタシ以上に適任者は居ないかも。(笑)
さてさて、これからどうなることだろうか。
バランスイージーチェア(ライセンス生産してるのは世界でサカモトハウスのみ)


