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ハラハラ帳

チョイと腰掛ける。

大きな原寸図を描く時には、立ったり座ったり、中腰で描いたりして疲れる。義弟のお嫁さんは腰が悪くて台所仕事が辛いと聞く。イスにドカッと座るというのは楽ではあるが、立つ時には「よいしょ!」という感じで、座るという事は覚悟が必要(笑)。登山だって、途中休憩で、ドカッと座ったりするといざ立ち上がる時には大変なので、ちょいと倒木に腰を押しつけて休んだりする。そんな腰掛けを作ろうと思ってたのが数年前。チョイと座る椅子なので、「チョイスツール」名前だけは先に決まってた(笑)。当初、2本の棒を渡してそれに座ったりしてアレコレ検討。座れるイスにはなったが、座りたいというとこまでは行かないので、再検討の繰り返し。いわゆるヨイショと座るハイスツールとは違うので、高さは人の脚の長さに合わせて脚をカットして調整することにした。ようやく先週完成してシキファニチアにてカタログ化、4月の展示会、6月の展示会に出品予定。
写真撮りした次の日、上京し、恩師柳宗理先生の献花会。献花の後、会場に貼ってあった数枚の写真。その中に約40年前にデザインされた横浜地下鉄のベンチの横で微笑む先生の若かりしころの写真があった。そう、この楕円のパイプを渡しただけの腰掛け(というより座背もたれ)こそが、ずっと頭の中にあったもの。ドカッと座るのではなく電車が来たらすぐに行けるチョイ休む為の道具。このオリジナリティが素晴らしい。もうアノニマスデザインといってよいほどの、すばらしい数々の作品を残されて他界された柳先生。ご冥福をお祈り致します。
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あれこれと試作してお尻の研究(笑)。
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横浜地下鉄設備デザインされた時の写真(柳先生58才時)
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by hararana | 2012-03-27 11:26 | 家具の話 | Comments(0)